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HOME > 44.観相(看相)の心得

看相の心得の事を論ず

・目上を剋す(≒圧倒する)相がない者は、高い地位(≒職位)に昇り難い。

・目上に従順に仕える者は、高い地位に昇り難い。だが、その地位は長く続く。

・学者、出家者、芸者の類で我慢の心がない者は、大きく発展し難い。

・散財の相がない者は、大きく発展し難い。必ず貧相である。福分があったとしても、内心は大いに貧窮している。

・食を乞うほどの貧相があったとしても、愛嬌がある者や正直な者は、決して極貧ではない。生涯、食に困る事はない。ゆえに、極貧者の福分は愛嬌と正直にある。

・商人で貴眼、威眼がある者は、客がその貴(とうと)さを恐れるため、人気が集まらない。よって、自ずと家業は衰え、破産する。だが、武家の者や長袖(=僧侶、神官、医者など)等は発展がある。

・高位高官の人に愛嬌がある場合は、その位を長く保つ事が出来ない。つまり、愛嬌は下賤の相である。

・子がいる相があるのに子がいない者は、必ず良い養子を得るため、晩年は悪くない。

・辺地(≒田舎)や山間部に住む者は、離婚する相があったとしても、離婚しない事がある。また、子がいない相があったとしても、子がいる事がある。だが、辺地であっても、売女(=売春婦)などがいる土地では、夫婦の縁、子孫の有無とも変化する事がある。

・繁華の地(≒都会)に住む者は、離婚しない相があったとしても、離婚する事がある。また、子孫がいる相があるように観えても、いない事がある。だが、繁都(≒都会)に住んでいたとしても、身の慎みが良い者は、子がいない相があるように観えたとしても、いる事がある。また、夫婦の縁についても同上である。つまり、情(≒情欲)が動く土地において、これらの相は変化しやすい。ゆえに看相は、意識の起変をよく観る時は、万に一失もない。

・親の有無、兄弟の多少については、他の相法にて多く記した。私も穴所、父母の有無の相、兄弟の多少の相については、古人の相法によって観ている。ゆえに、大抵の事はここに著(あらわ)す。まず、天中を父母の官とする。天中の左は父、右は母とする(*女性においては逆。)。また、上を見上げた時に天中の肉付きが窪(くぼ)む者は、必ず親との縁が薄い。なお、この相があるにも関わらず、親に久しく付き添っている者は、必ず親子の関係が悪い。日月の宮も父母の官とする。つまり、父母がいる時は日月の肉付きが豊かで自ずと満たされているように観え、父母が離れる時はその肉付きも自ずと衰える。これらは全て、古人の相法に記されている事である。兄弟の多少については、眉を観て判断するとは言うが、修業が足りない内は観定め難い。

・父母の有無、兄弟の多少、あるいは過去の事は、みな当人が知っている事である。すでに当人が知っている事を観抜き、驚かせたとして、何の役に立とうか。その人が未だ知らざる事を知らしめる、これが出来てこそ、観相者と言う。ゆえに私は、親の有無、兄弟の多少、あるいは過去の事を判断しないのである。