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オスグッド病は小学校高学年~中学生くらいの子供に多く見られる病態です。特に、バレーボールやバスケットボール、サッカー、剣道などで、強く足を踏み込むようなスポーツをやっている子供に多くみられる病態でもあります。整形外科においても、大腿直筋や中間広筋、前脛骨筋の使いすぎが原因であることは薄々わかっているようですが、病院ではこれといった治療法が確率しておらず、「しばらく部活動を休んで安静にして下さい。」とか、「運動の前後に太ももの前の筋肉を十分に伸ばすようなストレッチをして下さい。」などと言い放つだけで、結局は治せないことが多いようです。当院では、早ければ1回の治療で痛みが半減、平均的には3回程度の治療で痛みから解放されます。オスグッド病があった人は、成年期以降にタナ障害(棚障害)に移行することもあるようですが、これも鍼をすることで改善します。しかし発症してからかなり時間が経っていると、腰、骨盤周囲から大腿部、膝下の筋肉が硬化して、慢性的な腰痛、膝痛、ハムストリングスや腓腹筋(ふくらはぎ)のつり、痙攣もみられる場合があります。この場合は、腰、臀部、下肢前面と後面、膝裏、腸骨筋への刺鍼が必要になるため、中高生の膝痛よりも厄介で、改善するまで時間がかかることがあります。軽度であれば、数回の治療で済みますが、重度であったり、太っている場合は腰、股関節、下肢への日常的な荷重が大きいため、半年以上の時間を改善まで費やすことがあります。

そもそも、なぜこのような痛みが出るのかを神経学的に考え、どうアプローチすれば良いかを考えれば、自ずと治療法は絞られてきます。つまり、バレーボールやバスケットボール、剣道などのように、足底部における摩擦抵抗が極めて高い状態(体育館の床は滑り難いうえに、滑り難いバッシュなどを履くから、足底部では余計に抵抗値が上がる。)で、激しく踏み込むスポーツにおいては、大腿直筋や前脛骨筋が収縮する割合が他のスポーツに比べて高く、その結果、それらの筋肉が付着している膝関節前部で「引っ張り合い」が起こり、炎症や痛み、関節の変形を引き起こすことになるのです。原理・病態としては、関節の動きが似ている車軸関節である肘関節で起こるテニス肘、野球肘などとほぼ同じです。

多くの医療者は、痛みの出ている関節部ばかりに囚われそこばかりを治療しようと躍起になっていますが、実際は関節部に問題があるのではなく、関節に付着している筋肉に問題があることが多いのです。ゆえに、その問題の筋肉をどうにかしてやれば、関節部の痛みはウソのように消えてしまいます。で、どうすれば良いかと言えば単純に、使い過ぎで異常収縮を起こし、関節部へのテンションを強めている筋肉に鍼を刺して、元の健全な状態に近づくようにゆるめてやれば良いのです。ただ、それだけです。しかし、膝下の痛みは膝下に付着する大腿部の筋肉が原因であるケースは少ないです。それゆえに病院では大腿部の筋肉をゆるめてやれば治ると信じているようですが、実際に治るケースは少ないようです(実際には別の筋肉に原因があることがほとんどで、そこに刺鍼すればほとんどのケースで完治します)。病院などのように、薬物性肝障害や薬物性腎障害を起こし得る鎮痛剤などで一時的に痛みを誤魔化すのではなく、刺鍼によって痛みの原因となっている筋肉を安全にゆるめてやることで、本当の無痛状態、つまりは完治したと言える状態まで導くのです。

膏薬や湿布などの鎮痛剤の類は筋肉をゆるめるモノではありませんから、たとえそれで痛みが消えたとしても完治したとは言えず、マヤカシに過ぎません(ちなみに、モーラステープなどは日光過敏症などの副作用があり、重篤な皮膚症状が出現する患者もいますので、気軽に貼るのも考え物です)。つまり、生物の生存に必要不可欠な痛みの伝導回路を薬物によって強制的に断つことで、「痛みを感じない」状態にしているだけなのです。ゆえに、薬の効果が無くなれば、短期間で痛みが再発します。そもそも、痛みは休ませるための生理的に自然なサインであり、痛みを抑えて動かすことは関節や筋肉、骨、靭帯を損傷させる可能性があります。

しかし、鍼で完全に筋肉をゆるめてやれば、その後よほど使い過ぎない限りは、再発しにくくなります。万が一痛みが出たとしても、最悪の時の痛みが出ることはなく、「ちょっと痛むかな」という感じで痛みが出るので、その時に1~2回くらい鍼をすれば、簡単にまた良い状態へと治ってしまいます。つまり、鍼で一度完全に筋肉を良い状態にしておくと、その後は能動的に回復する力が強く発動するようになるため、それまでのようにひどく悪くなることはないのです。

当院での実際の施術は、仰向けに患者を寝かせ、三角枕を膝下に入れた状態で行います。そして、大腿直筋、中間広筋、前脛骨筋に適切な太さ、長さの鍼を用い、35分ほど置鍼します(ほとんどのケースは前脛骨筋に8~10本程度の鍼を打てば治るので、初診時は前脛骨筋のみにしぼって刺鍼するのが良いです)。必要があれば、横臥や伏臥にて腸骨筋や大腰筋、中間広筋にも刺鍼しますが、大概は仰向けだけの施術で完治します。大腰筋が悪いなど、重症の場合は、治りやすい中高生でも裏表の施術で10回以上かかってしまうことがあります。

当院に訪れる患者は主に中高生で、「病院に行ってもどこに行っても治らず、安静にしていろと言われるが部活動を再開したい。試合に出たい。何とか治して下さい」というケースがほとんどです。で、実際に施術するとアホみたいに簡単に痛みが消えるので、部活の顧問やお母さん達の間でクチコミとなり、「鍼は効く」という感じで、次から次にオスグッド病の子供たちが来院するのです。そうなると私の臨床経験値もUPしますから、治癒率も自ずと上昇するわけです。まぁ、私も神ではありませんから、100%治せるわけではありませんが、他の鍼灸院と比べてみれば、かなり治している方だと思われます。

子供は基礎代謝が高いので、鍼をしても、大人に比べて治りが早いです。ほとんどの場合は1回で痛みが半減し、大体3回前後で完治します。まれに、腰から骨盤内部にかけてのインナーマッスル(腸腰筋)が異常に悪いとか、膝窩筋が硬いとかいう場合は、それらを並行して治療するため、5回以上かかるケースもありますが、大抵は脚だけの鍼治療で治ってしまいます。オスグッド病は成長痛とも言われるように、放置しておいても痛みは消えると言われていますが、病態が悪化した状態で放置しておくと膝関節が出っ張るなど、骨の変形が残る可能性がありますから、痛いうちに鍼で治しておくのが賢明です。ちなみに、大腿部の筋肉は体で最大の筋肉ですので、それなりの長い鍼を使わないと全く効果がありません。例えば、大腿直筋であれば、通常は2~2.5インチ程度の長さの鍼が必要になります。腸骨筋や大腰筋においては、4~5インチ程度の長さの鍼が必要な場合があります。
 

疫学:外傷、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、腰部脊柱管狭窄症、変形性関節症、動脈硬化性閉塞症、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)、静脈瘤、血栓性静脈炎、蜂窩織炎など器質的病変による下肢の痛み。
原因:原因疾患によって異なる。
一般的な治療法:原因疾患によって異なる。
当院の治療法基本的には、下記に述べる器質的病変や緊急性が見られた場合、鍼灸治療は不適応となり、予約をお受けすることができません。特に病態鑑別に注意しなければならないのは血栓性静脈炎による下肢の腫れや痛みで、基礎疾患として高血圧や高脂血症、糖尿病、下肢静脈瘤、高コレステロール血症があったり、ホルモン製剤や副腎皮質ステロイド薬、抗凝固薬、ピル等を服用していたり、ヘビースモーカーであったり、運動不足や精神的ストレス過多、加齢などの要因があった場合、ある日突然下肢に痛みを感じ、急速に腫れて、皮膚のかゆみや筋肉の痛みを感じることがあります。この場合、血栓が肺へ飛び、命に関わることがあり、一刻も早い専門外来や救急外来への受診が必要になります。もちろん、このような病態の場合は鍼治療は不適応となりますが、鍼灸師の知識不足や判断ミスなどによって、万が一、患部へ刺鍼してしまった場合、症状が悪化する可能性があります。また、蜂窩織炎との鑑別も必要で、患者が自己判断で下肢の腫れを放置していた場合、最終的には敗血症に至り、命を落とす可能性がありますので、この場合も病院での早急な受診が必要となります。動脈硬化性閉塞症や閉塞性血栓血管炎(バージャー病)など、脈管系の疾患がある場合も当院では施術不可となります。血栓性静脈炎に関しては以下のリンクが参考になりますのでご参照ください。
 
「血栓性静脈炎とは?エコノミークラス症候群は命にかかわることも」
 

疫学:いわゆる強直性痙攣の一種で、腓腹筋が局所的、突発的に激しく痙攣し、時に筋繊維が断裂するような激烈な痛みを伴う。下肢が冷えた時や就寝時など、血流が低下した時に起こりやすい。全身性の強直性痙攣にはてんかん、テタニー、破傷風などがある。
原因:冷え、筋疲労、上位運動ニューロンの障害、中毒性疾患、下肢静脈のうっ血、電解質不足(カリウム不足)など。
注意点:運動中は発汗によって血液中のカリウムが減少し、こむら返りが起こりやすくなる。また、血流低下によるこむら返りを予防するため、冷水中や寒冷時に運動する場合は、事前に下肢を保温したり、十分なウォーミングアップをしておくことが重要。
一般的な治療法:温熱療法、薬物療法など。
当院の治療法:単なる冷えや筋疲労などによるこむら返りであれば、当院の鍼灸治療で改善または完全に痙攣が出ないような状態にすることが可能です。通常3~5回程度の施術でこむら返りが発生する頻度が減少し、軽症であれば完全に発作が消失します。下肢の冷えが強い場合は、針治療と同時に、週3~5回程度、15~30分ほどのウォーキングを続けることで、完治させることが可能です。また、日常生活においては、体を冷やすような食べ物の摂取は控え、寒い時期は膝下にレッグウォーマーや保温サポーターなどを着用し、全身の血流を滞らせないような工夫が必要です。ちなみに、過去に筋肉がちぎれるような激烈な痛みを伴うこむら返りを経験していたり、スキーなどで腓腹筋に酷い肉離れを経験したことがある場合、腓腹筋に瘢痕化したと思しき数センチ四方のシコリが見られるケースがあります。このようなシコリがあると、下肢全体の血流が改善したとしても、こむら返りが完全に解消されないことが稀にあります。
 

疫学:過度の運動などで脛骨に生じる疲労現象で、亀裂骨折に至ることがある。かつては軍隊に多く見られた病態であったが、現在は部活動をしている学生やスポーツ選手にも見られる。疲労骨折は脛骨下中1/3の部位に多く、骨膜性反応は後脛骨筋起始部に多い。
原因:過度の運動、局所的な筋肉の異常収縮、筋疲労の蓄積。
注意点:脛骨前筋症候群(急激な慣れない運動や打撲などで、脛骨前筋膜腔内の圧力が急激に上がると、局所的な循環障害や神経障害、筋の壊死などが発生する病態)との鑑別が必要である。
一般的な治療法:保存療法、手術療法など。
当院の治療法:病院の専門外来やスポーツ障害専門を謳う鍼灸院などでも、未だ決定的な治療法が確立されておらず、痛みに悩まされている学生やスポーツ選手は少なくないようです。当院では最も治療成績の良い部類の病態で、軽症であれば1回の施術で完治させることが可能です。どこへ行っても改善しなかった患者には信じがたいかもしれませんが、当院のような中医的な刺鍼法を実践している鍼灸院においては、特に珍しいことではありません。基本的に、1~5回程度の刺鍼で痛みが無くなるケースがほとんどです。一般的に、このような病態は筋肉の使い過ぎ、休息の不足が主な原因でありますから、治療期間中はなるべく患部を休ませた方が、治りは早いです。普段はレッグウォーマーや膝用の保温サポーターで患部を温め、血液循環を促すことが重要です。患部に激烈な痛みや腫脹が見られる場合は、疲労骨折または脛骨前筋症候群の疑いがありますから、出来るだけ早く病院で受診して下さい。温泉や温湿布などは炎症を悪化させることがありますので、注意が必要です。
 
 

疫学:収縮している筋肉に急激な張力が加わることで、筋肉が部分断裂または完全断裂を起こした状態。大腿部前面・後面、下腿三頭筋に多く発症する。
原因:ウォーミングアップの不足、筋肉疲労が強い状況下での激しい運動など。
注意点:筋挫傷を起こして瘢痕化した部位は、再発を繰り返すことがある。
一般的な治療法:内出血が大きい場合は血腫の拡大を防ぐため、アイシングが重要になる。ただし冷し過ぎると局所的な血液循環不全が起こるため、適宜アイシングを中断すること。血腫が大きい場合は穿刺吸引が必要になることがある。軽症であれば保存治療となるが、筋の完全断裂を起こした場合は手術が必要になる。
当院の治療法:軽度の肉離れで、病院で保存療法を推奨されたケースでしたら、鍼灸治療が有効です。患部および患部周囲の筋肉へ刺鍼することで、何の治療もしていない場合に比べ、損傷部位の回復が早まります。通常、肉離れを起こしてから、1~3回程度施術して、筋肉が自然に回復するのを待ちます。筋肉の修復は通常4~8週間ほどかかると言われています。したがって、鍼灸治療で痛みが完全に消失したとしても、しばらくはリハビリに努め、徐々に負荷をかけるようにしてゆくのが望ましいです。また、完治した後も、肉離れした部位が瘢痕化していた場合、再発を繰り返すことがありますから、運動前のウォーミングアップは入念に行って下さい。
 

疫学:10~15歳の男子、両側性に発症することが多い。膝蓋骨下端に疼痛および腫脹があり、X線で石灰化、骨化、骨委縮、骨片が見られる。
原因:膝の伸展過剰によると考えられている。
注意点:オスグッド・シュラッター病を併発することがある。
一般的な治療法:安静で経過観察。キックやジャンプ動作は禁止とする。理学療法と対症療法が主で、重症の場合は手術となることがある。
当院の治療法:病院では運動制限を告げるだけのことが多く、完治に至らず、泣く泣く部活を止めざるを得ない子供が多いようです。しかし、鍼治療で膝周囲の筋肉の圧力を減少させれば、膝への過剰な張力が減少し、骨への負荷が減るため、骨が変性することはなくなります。また、異常収縮していた筋肉が元の状態に膨らみ、柔らかくなることで、圧迫されていた神経や血管が解放され、徐々に痛みが消え、再び運動することが出来るようになります。要するに、コリ過ぎた下肢の筋肉を柔らかくしてやれば良いだけですが、深層筋までゆるめる方法としては、針治療が最も効果的です。変性してしまった骨自体を元に戻すことは出来ませんが、一般的には3~7回程度の施術で痛みが完全にとれて、部活に復帰するケースがほとんどです。しかし、筋肉のコリが強いほど、刺鍼時の痛みも強いため、泣き出してしまう子供も多く、施術時の痛みに耐えられるかどうかが重要なポイントになります。
 

疫学:10~15歳の男子に多い。脛骨粗面付近に疼痛が見られる。運動時に症状が悪化する。
原因:大腿四頭筋などの使い過ぎで、膝蓋骨遠位端、膝蓋靭帯、脛骨粗面にかかる機械的牽引力が増加する。
一般的な治療法:安静で経過観察。キックやジャンプ動作は禁止とする。理学療法と対症療法が主で、重症の場合は手術となることがある。
当院の治療法:主には大腿四頭筋と前脛骨筋へ刺鍼します。通常、3~5回程度の刺鍼で完全に痛みが消失します。病院で「部活を止めないと治らないよ!」と医師に宣告され、ガッカリ顔の学生がよく来院しますが、軽症であれば3回程度の施術で痛みから解放され、部活を再開出来るようになります。元々慢性腰痛があったり、下肢全体のコリが強いような場合は、10回前後かかることもありますが、当院においては比較的簡単に治せる病態の1つです。