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古代九鍼について

 
 
古代九鍼は《霊枢・九鍼十二原》や《霊枢・九鍼》、《霊枢・官鍼》などに記されており、日本でも研究されているようです。しかし、これまで日本では中国語に精通し、中医鍼灸経典の原典を中国語で研究している研究者が極めて少なく、結果として、現在でも良質な中医経典の翻訳書が未だ皆無に等しく、古代九鍼についても誤解している鍼灸師が少なくないようです。
 
黄帝内経や霊枢、難経、鍼灸大成、鍼灸聚英、鍼灸甲乙経、脈経、千金要方などの中医経典を正確に翻訳するためには、中国語文法への正確な理解と中医鍼灸の専門知識が必須となります。また同時に、中国語の中医鍼灸関連の参考文献が多数必要となります。しかし、日本国内で数百冊以上の中国語の中医鍼灸書籍の蔵書があり、中国の教育機関でしっかりと教育を受けた鍼灸師はあまりいません。
 
実際、日本に中国語に精通した鍼灸師の研究者が皆無に等しかった証拠として、多くの書籍やネット上において、中医鍼灸用語が未だ直訳のまま(日本語で理解不能、例えば「分肉」や「張口(张口)」、「短刺」など)、または誤訳(例えば「肺経は中焦に始まり中焦に終わる」など)、曲解されているケースが多く、基礎的な中医用語さえ正しく理解されていないのが現状です。
 
中医用語は本来、翻訳してしまうと本来の意味が失われてしまうものが多く、出来る限り中国語で理解すべきですが、ネイティブの専門家から中国語でしっかりと教育を受けていないと、中医用語を翻訳しようと思っても限界があります。したがって、中国語能力が低い人が無理に翻訳してしまえば、誤った中医鍼灸用語を流布させてしまうことになり、結果として日本鍼灸界全体に影響が出る可能性があります。
 
かといって、我々のように日々臨床に追われている鍼灸師にとって、翻訳業に時間を割くことは容易ではなく、毎日、際限なく来院する患者の対応で手一杯です。
 
しかしながら、古代九鍼への正しい理解は鍼灸を学ぶ上で非常に重要ですから、ここに簡潔ながら、数種の中国語の中医文献を参考にして、古代九鍼の正しい知識を記しておきたいと思います。
 
 

九种针具的应用(古代九鍼の使い方)

 
1.镵针chán zhēn:后人又称箭头针。见《灵枢·九针十二原》:“一曰镵针,长一寸六分,……头大末锐,去泻阳气。”主要用于浅刺皮肤出血,治疗头身热症等。又《灵枢·官针》:“病在皮肤无常处者,取以镵针于病所、肤白勿取。”近代在此基础上发展为皮肤针。
別名、箭头针。主に浅刺、皮膚からの排血に用いる。のぼせや熱症状を治療する。

2.圆针yuán zhēn:后人又称圆头针。《灵枢·九针十二原》:“二曰员针,长一寸六分……针如卵形,揩摩分间,不得伤肌肉,以泻分气。”《灵枢·官针》:“病在分肉间,取以员针于病所。”说明其针头卵圆,用以按摩体表,治疗筋肉方面的病痛。
別名、圆头针。病が皮下脂肪層と筋層の間にある時に用いる。また体表の按摩や、筋肉由来の病や痛みに用いる。

3.鍉针dī zhēn:近代有称作推针。其针体较粗大,针尖钝圆而微尖,如黍粟一样,长3.5寸。用于按摩经脉,按压穴点,不入皮肤,而有导气和血、扶正祛邪功效。《灵枢·九针十二原》“鍉针者,锋如黍栗之锐,主按脉勿陷,以致其气。”《灵枢·九针论》:“鍉针,取法于黍粟之锐,长3.5寸,主按脉取气,令邪出。”《灵枢·官针》:“病在脉,少气当补之者,取以鍉针于井荥分输。”可用于虚证、疼痛证。
別名、推针。経脈の按摩やツボ押しに用いる。皮下には刺入せず、気血をコントロールし、正気(真気)を助け、邪気を追い出す効果がある。
 
4.锋针fēng zhēn:亦称三棱针。《灵枢·九针论》:“锋针,取法于絮针。筩其身,锋其末,长一寸六分,主痈热出血。”又《灵枢·九针十二原》:“锋针者,刃三隅,以发痼疾。”是一种体呈圆柱,针尖锋利,三面有刃的针具。用于浅刺出血,治疗热病、痈肿及经络痼痹等疾患。
別名、三棱针。主に浅刺、皮膚からの排血に用いる。熱病や邪毒による腫脹、風寒湿邪による経絡の不通などを治療する。
 
5.铍针pí zhēn:亦称䤵针、铍刀、剑针。《灵枢·九针论》:“铍针,取法于剑锋,广二分半,长四寸,主大痈脓,两热争者也。”《灵枢·九针十二原》:“铍针者,末为剑峰,以取大脓。”其针形如宝剑,针尖如剑锋,两面有刃,长四寸,宽二分半。主治痈疽脓疡,可以切开排脓放血。
別名、䤵针、铍刀、剑针。主に化膿性皮膚疾患や膿瘍を治療する。切開により排膿、排血ができる。

6.圆利针yuán lì zhēn:《灵枢·九针十二原》:“六曰员利针,长一寸六分……大(尖)如氂,且员且锐,中身微大,以取暴气。”是一种针体细小而尖微大圆利的针具,适于刺痈肿痹症。
形状は毫針に近似、太さ約0.45mm以上で、主に脊柱近位や筋肉が厚い部位に用いる。邪毒による腫脹、風寒湿邪による経絡不通を治療する。

7.毫针háo zhēn:《灵枢·九针十二原》:“毫针者,尖如蚊虻喙,静以徐往,微以久留之而养,以取痛痹”。古制毫针长1.6寸(一说3.6寸),尖细如蚊虻之喙,用于治疗邪客经络所致痛痹等疾患。现代临床中应用的毫针为不锈钢制造,规格有0.5寸、1寸、1.5寸、2寸、3寸、4寸等数型,粗细规格为26、28、30、32号,号码小者细,26号以上者称巨针,4寸长以上者称芒针。毫针是针灸临床中最普遍应用的针具。
太さ26号(0.45mm)以上を巨针、長さ4寸(100mm)以上を芒针と称する。風寒湿邪による経絡不通や疼痛などを治療する。鍼灸臨床において最も一般的な鍼。

8.长针cháng zhēn:又名环跳针。《灵枢·九针论》:“长针,取法于綦针,长七寸,主取深邪远痹者也。”《灵枢·九针十二原》:“长针者,锋利身薄,可以取远痹。”其针身长,针尖锋利,而针身细薄,摹仿綦针的式样制成,长七寸。现代所用芒针类此。主治邪气深着,日久不愈的痹症。
別名、环跳针。現代の芒针(長さ100mm以上の毫鍼)に近似。主に深くに邪気がある病や、長期慢性化した風寒湿邪による経絡の不通に用いる。

9.大针dà zhēn:《灵枢·九针十二原》:“九曰大针,长四寸……尖如梃,其锋微员,以写机关之水也。”《黄帝内经太素》卷二十一杨上善注:“梃,当为筵,小破竹也。”意指针身粗如竹筵。又《灵枢·官针》:“病水肿不能通关节者,取以大针。”古代多用于关节水肿。后人将此针于火上烧红后刺病,称火针。《针灸聚英》卷三:“火针,以火烧之可用,即九针中之大针是也。”《针灸大成》卷四即将大针将作“火针,一名燔针。”近人有应用巨针,与大针相类。
古代では関節水腫に対して多用された。その後、火であぶって使用されるようになり、火针と称された。現代では巨针が大针のように使用されている。
 
参照URL:九鍼LinkIcon
 
 
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