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棒灸について

 
棒灸(艾条、艾卷)は中国由来の灸製品の1つで、主に乾燥熟成させたもぐさのみを使用した純棒灸と、もぐさを炭化圧縮加工した無煙棒灸、もぐさに薬物を混ぜ込んだ薬棒灸の3種類があります。もぐさはその精製率と熟成年数、産地などによって細かく等級分類されています。精製率が絶妙なもぐさほど香りが良く、火力がマイルドかつ安定しているため、煙が少なく、点火中も灰が落ちにくいため扱いやすく、高価です。中国では、もぐさの原料であるヨモギは「百草の王」であるとされ、三千年以上にわたり、病気の治療に用いられています。中国では李時珍の『本草綱目』に記されているとおり、蕲州(現在の黄岡市蕲春県)産のヨモギが最上級であるとされています。蕲州産ヨモギは茎の高さが150~250cmにも達し、葉の腺毛密度が高く、精油成分や微量元素が豊富なため、熱浸透度が非常に高いと評価されており、香りは濃厚です。当院で施術時に使用しているもぐさは、基本的にすべて蕲州産ヨモギです。呼吸器疾患のある患者様に配慮し、棒灸はすべて無煙のものを使用しています。また、当院オンラインストアでは、蕲州産ヨモギを原料にした最上級品を独自ルートで仕入れ、より上質なお灸をお求めになられている皆様のもとへお届けしております。
 
 
 

【ご家庭で棒灸をご使用される際に用意しておくもの】

 
□棒灸 □ターボライター □軍手 □ステンレス製トレー(11号浅型ケーキバットでもOK) □大きめの灰皿 □純棒灸または薬棒灸の直径に適合したステンレス製棒灸つぼ □消火後の棒灸を保管するフタ付きアルミ缶 □消火用の灰(無煙棒灸を使用する場合/仏壇用で代用可) □消火用の灰を入れる長筒型アルミ缶(無煙棒灸を使用する場合) □パレットナイフ □消火用の水と小バケツ □タイマー
 
 

【棒灸の使い方】

 
まず、棒灸、ターボライター、灰皿、棒灸つぼまたは灰を3割ほどの高さ(消火時に無煙棒灸の先端が埋まる高さ)まで満たしたアルミ缶をステンレス製トレーの上に置きます。次に、軍手を装着し、片手に棒灸、片手にターボライターを持ち、床やベッドに火の粉が落ちないよう、ステンレス製トレーの上で棒灸先端に点火します(無煙棒灸は点火まで時間がかかります)。無煙棒灸の有孔タイプは、無孔タイプに比べて火がつきやすいですが、折れやすいので気を付けましょう。
 
棒灸に火をつけたら、軍手を装着して、ペンを持つように棒灸をつかみます。そして、棒灸の先端を皮膚から3~5cmほど離し、熱感を加えつつも、火傷させない距離を定めて保つようにします。皮膚の上に灰が落ちないように、コリが気になる部位や患部の側面から上下または平行移動させて温めます。この時、火の粉が落ちるのを避けるため、狙った部位の真上で棒灸を移動させないように気を付けます。例えば、患部が背中にある場合は、患者を側臥位にさせて、患者の皮膚面に対して側面から施術するようにします。また、術者は利き手に棒灸を持ち、反対の手を患部周囲の皮膚の近くに添えて、ほど良い熱感を確かめながら棒灸を移動させます。施術中は棒灸先端の灰をパレットナイフなどで灰皿に適宜落とし、棒灸をゆっくりと移動させながら、患部周囲までほんのりと紅くなるくらいまで温めます。長時間温めすぎると火傷したり、灸あたりになる可能性がありますので、1部位につき10~15分を限度に温めます。
 
施術終了後、純棒灸と薬棒灸は専用の棒灸つぼへ、無煙棒灸は灰を満たした長筒缶へ差込み、酸素を完全に遮断して、確実に消火されたことを確認します。万が一、消火されにくい場合は、消火用の水に浸けます。使用後の棒灸はフタ付きの長筒缶へ保管しておくと安心です。
 
 

【施灸上の注意】

 
・灸の成分が臭いやヤニとなって壁紙や家具、布類に付着する可能性があります。
・消火する場合は水に浸すか、灰を入れた金属製の長筒などに入れ、完全に火が消えたことを確認して下さい。水に浸した場合は、完全に乾燥させてから再使用して下さい。
・燃焼部は高温です。直接皮膚に当てたり、近づけ過ぎると火傷する恐れがあります。
・空腹時や過食後、飲酒後、怒りで興奮している時、喉が渇いている時、過労時、過緊張状態の時などは施灸しなで下さい。
・妊婦や糖尿病患者、免疫疾患などの易感染傾向患者、出血傾向にある者、ケロイド体質者、胎児、乳幼児、高齢者、重度の精神病患者、重度の呼吸器疾患、肺炎など、灸治療が適さない患者には施灸しないで下さい。
・顔面部や陰部、粘膜、外傷部などには施灸しないで下さい。特に顔面部は、真上から施灸すると灰が落ちて火傷する可能性があります。棒灸での施灸は皮膚面に対して側面(横方向)から行うのが比較的安全です。
・食前食後の1時間前後は施灸を避けて下さい。また施灸後1時間程度はサウナや入浴、水浴び、運動も避けて下さい。
・施灸後は白湯や常温水を適宜飲み、体調を整えて下さい。また、冷たいものの飲食は避けて下さい。
・施灸中、めまいや悪心、動悸、多汗、顔面蒼白などの症状が現れた時は、直ちに施灸を中止して下さい。
・施灸後は棒灸の火が完全に消えたことを確認して下さい。
・施灸中は灸の灰が皮膚や床に落ちないよう注意して下さい。施灸専用の木箱などを用いると比較的安全に施灸できます。
・灸は煙が大量に出ることがあるため、換気の良い場所で施灸して下さい。火災報知機やスプリンクラーなどが反応する可能性のある場所では施灸しないで下さい。
・灸はあくまで補助的療法として用いるべきものであり、医師による診察および治療の代わりになるものではありません。
・棒灸は専用の金属製長筒や、乾燥剤を入れたフタ付き容器に入れるなど、高温多湿を避けて保管して下さい。
 

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