孙思邈(Sūn Sīmiǎo / 541年-682年)
中国で著名な古代中医、薬物学者。幼少期は「神童」、晩年は「薬王」と称された。『备急千金要方』や『千金翼方』などを記し、身体と自然界の陰陽調和の必要性や、“大医精诚(医師の卓越した専門技術と高尚な道徳性)”の重要性を説いた。141歳まで生きたと伝えられている。孫思邈が健康長寿のために実践していた養生法は「養生十三法」と呼ばれ、現代医学的に見ても非常に合理的な方法である。
方法:両掌を50回程度こすり合わせて手を温めたら、前頭から後頭へ心地よい程度に揉む。
効果:頭部には重要なツボが多くある。眼の異常の改善、頭痛、耳鳴り、白髪、脱毛の予防。
方法:まぶたを開き、左→上→右→下の順に眼を動かす。また、逆回りも同様に3セットずつ行う。さらに両掌を50回程度こすり合わせ、まぶたを閉じた状態で温めた掌を眼上に当てる。
効果:近視と弱視の矯正、眼精疲労の改善。
方法:唇を軽く閉じた状態で上下の歯をそろえ、歯をカチカチ動かす。力を入れ過ぎず、少し音がでるように嚙合わせる。20~30回行う。
効果:上下顎の経絡を通じさせる。脳の活性化や胃腸の消化吸収促進、虫歯や歯茎老化の予防。
方法:唇を軽く閉じた状態で、舌先を歯の外側で左から右へ回転させる。これを10回繰り返し、唾液を飲み込む。右回りも同様に行う。次に、唇を軽く閉じた状態で、舌先を歯の内側で上顎と下顎につけたまま回転させる。左回りを10回繰り返したあと、唾液を飲み込む。右回りも同様に行う。唾液を飲み込む際、なるべく唾液が下丹田(関元・気海・神闕・命門などを含む臍下)へ届くよう想像すると良い。
効果:唾液は多量の酵素を含み、ホルモンの分泌を促す。中医学では「唾液は腎気が変化したもの」と考えられている。脾胃腎の強化、長寿。
方法:両掌で両耳を覆い、少し力を入れて耳内部へ圧力をかける。パッと音が出るように10回繰り返す。また両掌で耳を覆った状態で人指を中指で弾いて後頭部(風池穴)を軽く10回叩く。
効果:就寝前に行う。記憶と聴覚機能向上。
方法:両掌を50回程度こすり合わせて掌を温め、顔を洗うように上下に軽くこする。また軽く力を入れながら外側へ向けなでる。
効果:皮膚の血色改善、くすみやシワ予防。
方法:両手を腰に当てて瞼を閉じ、首を少し前傾させた状態でゆっくりと頭を右回転させる。5回繰り返し左回転も同様に行う。
効果:脳の活性化、頚椎症の予防。頸椎損傷を避けるため無理をせず、ゆっくりと行う。
方法:少し足を開いた状態で立ち、体を左右にひねるように、体幹と手をリズミカルに振り動かす。体を左側にひねった時、右手が正面、左手が後面となるようにして、右手はわき腹を、左手は腰(命門穴)を軽く叩く。反対方向も同様に左右50回行う。
効果:胃腸の強化、遺尿、早漏、消化不良、胃痛、腰痛の予防。
方法:両掌を50回程度こすり合わせて掌を温め、両手指を交差させて、臍周囲を時計回りにさする。さする範囲は始めは小さく、のちに大きくし20~30回繰り返す。
効果:消化吸収の促進、膨満感の改善。
方法:息を吸い込むと同時に肛門を閉じ、骨盤底筋群を刺激する。息を吸い込んだあとは肛門を閉じたまま息を止めて我慢し、数秒間経ったらゆっくりと息を吐きながら肛門を弛める。この動作は立位、座位、仰臥位いずれも可。朝晩20~30回繰り返す。
効果:中国の歴代皇帝中、最長寿であった乾隆帝が最も好んだ養生法の1つ。痔、脱肛、便秘、尿漏、心疾患、高血圧、下肢静脈瘤の予防。
方法:足をそろえて立ち、左右の膝はピッタリとくっつけておく。膝を少し曲げてしゃがんだ状態で、膝の上に手を添えながら、膝をゆっくりと左右に回す。左回り、右回り、各20回行う。
効果:膝関節の強化。中国には「人は老いるとまず脚が弱り、腎虚になればまず膝が弱くなる」という格言があり、長寿の秘訣は両脚からとされる。足三里穴への程よい施灸も長寿に有効。
方法:胸を張ってのんびりと散歩する。雑念を払い、道中の景色を心ゆくまで楽しみながら歩く。
効果:中国には「食後に少し歩けば、99歳まで生きられる」という言い伝えがある。
方法:右手の拳または掌で左足裏をさすり、左手の拳または掌で右足裏をさする。踵からつま先まで20~30回繰り返したら、つま先から踵まで同様に繰り返す。また手の母指を用い、両足の土踏まず(湧泉穴)を左右30回ずつ指圧する。
効果:不眠症、高血圧、頭痛の改善。