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「鍼はクセになりませんよ」のウソ

 
巷(ちまた)の鍼灸院のHPをみてみると、「鍼治療がクセになることはありません」などと弁解気味に、しかも何の論拠もなく叫んでいる鍼灸師が案外多くいることに驚いてしまいます。大体、鍼灸院のHPに書かれている内容は医学的にも、科学的にも疑わしいモノばかりで、個人的には「よくもまぁ、こんなヒドイことを平然と謳うもんだ!ヾ(*`Д´)ノケシカラン!! 」と怒り心頭な感じになることが頻繁にあります。ゆえに、私は他の鍼灸院のHPをみると不快になることが多いので、みないことにしているのですが、たまにメディアで取り上げられる鍼灸院があったりすると、ついついHPを覗いてしまうのでした…。
 
しかし、そういうイイカゲンなことをあたかも真実かのように謳う鍼灸院というモノは、その鍼灸師のプロフィールをみてみると、大抵は肩書や権威に満ち満ちた内容であります。そういった鍼灸院がメディアに取り上げられ、雑誌やTVなどで紹介される昨今なわけですから、本当に恐ろしいというか、患者の将来を憂えてしまいます。
 
とにかく、患者はある程度は知識武装して備えていくしかありません。まぁ、どんな分野においても言えることですが、「モノを知らぬ者」は我利我利亡者の餌食になって、骨までしゃぶられる可能性が大ですから、この世知辛い世の中を渡り歩いて行くには、自己防衛するしか術はありません。なんせ、口コミサイトでさえ自作自演、ヤラセは日常茶飯事ですから。特に都会は人から人への直接の口コミが少ないので、注意が必要です。ネットの情報にだまされないようにしましょう。国や自治体、役人、警察、検事は守ってくれません。実際、私は過去にイロイロとだまされて大いに苦労しましたので、自衛する術を自然と身に付けたのでした。「疑ってはいけない」などと偽善的に生きていたら、隣国からミサイルが飛んできても、何も出来ずに逝ってしまうでしょう。
 
で、主題に入りますが、結論から言うと、鍼灸治療には少なからず依存性があります。この事については、生理学の基礎を学んでいる人でしたら、誰でも理解出来ます。ゆえに「鍼灸治療はクセになりません。」などと叫んでいる鍼灸師は相当に不勉強な輩であり、そう言うことを堂々と公言するあたりを鑑みると、私は呆れてモノが言えません。
 
人には、いわば防衛機構が備わっています。つまり、ある程度生存に不可欠な痛みは感じるようになっているのですが、痛みの程度が大きいと「自己(≒脳)」が破壊される可能性が高まるため、いわゆる脳内麻薬と呼ばれる内因性オピオイドが脳内で放出されるようになっています。よく知られているのが、「ランナーズハイ」です。長距離を走るランナーや、長時間にわたって体を酷使するような格闘家などは、その肉体的苦痛から解放されるべく、日常的に脳内でβ-エンドルフィンやアドレナリンといった鎮痛物質を多量に、無意識に放出することが可能となっています。

 
 
特に、脳内麻薬であるβ-エンドルフィンの鎮痛効果はモルヒネの数倍と言われており、同時に多幸感をともなうため、「ドラッグ(=大麻、コカイン、ヘロイン、マリファナなど)」を摂取している状態を疑似的に再現出来ます。
 
では、なぜ鍼治療でランナーズハイと似たような状態になるかと言えば、それは簡単でして、鍼が人体にとって侵害刺激になるからです。つまり、刃物でブスッと刺されるのと同様、人体にとって有害と認識される状態になるので、自然とその痛みから逃れようとして脳内で麻薬様物質が放出されるのです。よって、頻繁に鍼治療を続けていると依存性が出るということは、生理学的にみても、医学的にみても、真実です。しかし、ここで重要なのは、脳内麻薬は内因性オピオイドであり、薬のような害や副作用はない、ということです。著名な長距離ランナーや、最強と呼ばれる格闘家たちが、日常的には心身ともに健康であるのがよい証拠です。ですから、鍼灸治療を恐れることはないのです。
 
ちなみに、性行為の時も同様にβ-エンドルフィンやオキシトシンなどが放出されますので、硬化した筋肉にしっかりと刺鍼する鍼灸治療後は、性交後と近似した気だるさ、多幸感を実感出来ると思います。
 
最近は「優しい鍼」とか、「刺さぬ鍼」が流行ってますが、確かに鍼を刺さなければ、「クセになる」ことはないでしょう。しかし、脳内麻薬を放出させぬような軽い刺激では、鍼治療の真価は発揮されません。なぜなら、慢性痛や慢性病の多くは深層筋の硬化が原因であり、そこに鍼をさせば当然痛いですし、自ずと脳内麻薬も放出されるからです。ゆえに、深層筋をゆるめるような痛い鍼ほど、生理学的にも、医学的にも鎮痛効果が高いのであると推察されます